未来へ続く“かけ橋”―川田工業様 創業100周年慰霊碑
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このたび、国内大手の橋梁メーカーである川田工業株式会社様が茨城県牛久市・牛久浄苑に建立された慰霊碑の制作に携わらせていただきました。
本慰霊碑は、同社の創業100周年を記念し、2025年3月に完成したものです。
明石海峡大橋をモチーフに、吊橋を下から見上げるようなアングルのデザイン。
塔柱を「現在」として「過去」と「未来」を繋げ、参拝者がそこへ向かうまでの道のりを「これまでの百年」、そこから向かう先を「これからの百年」として歩むことをコンセプトとしています。
(基本デザイン:川田工業株式会社 三宅律子氏) -
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私たち須藤石材では、このコンセプトを具現化するにあたり、とりわけ吊橋のケーブルを想起させるデザインの加工に注力いたしました。
円錐状に切り出した石を動きのある曲線に仕上げる過程では、3Dモデルを用いた試作を繰り返し、耐久・耐震に関する綿密な検証を経て精度の高い加工を実現しております。
また中央に設置されたシンボルには、ガラス・金属素材と石材の各分野の技術を合わせることで、印象的で調和のあるモニュメントを実現しました。
この慰霊碑が、過去への祈りと未来への希望を結ぶ“かけ橋”となり、苑を訪れる皆さまの心にあたたかく寄り添う存在となることを願っているそうです。
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川田工業様 慰霊碑 施工の記録
重量のある石材※1を扱うため、綿密な設計と厳格な安全基準に基づいて施工を行います。各工程は安全性と品質を支える重要な要素であり、確実な手順の積み重ねによって、初めて“モニュメント”としての姿が完成します。
※1‥ 御影石の場合、約30.3cmの立方体でおよそ70〜80kgとなります。
- 基礎工事‥安全と品質確保の要となる工程です。地盤を整え、施工規約に基づいた鉄筋組みやコンクリート打設を丁寧に行うことで、長期的な安定性が確保されます。
- 石材加工と組立‥モニュメントは複雑な立体を複数のパーツで構成するため、正確な設計と全方向からの美観が求められます。高度な技術力が欠かせません。
- 素材ごとの加工‥石材・ガラス・金属など、それぞれの専門職人が加工を担当します。連携を取りつつ、現場で組み上げることにより一体のモニュメントとして完成します。
- 使用石種‥稲田石(日本産白御影)・クンナム(インド産黒御影) ※ ガラス:オハラ社製ガラス
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1.基礎工事
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2.掘削
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3.割栗石設置
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4.砂利を入れ突き固め
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5.鉄筋組み
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6.コンクリート打設(1回目)
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7.養生期間
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8.外柵の施工
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9.外柵完成
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10.鉄筋組み
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11.コンクリート打設(2回目)
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12.階段・蹴上 石貼り / コンクリート打設(3回目)
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13.鉄筋組み
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14.コンクリート打設(4回目)
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15.塔柱部据付用型枠設置・鉄筋組み
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16.コンクリート打設(5回目)
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17.台座完成
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18.モニュメントシンボルとなるガラスの加工
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19.モニュメント本体の加工
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20.クレーンで塔柱部移動
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21.塔柱部据付
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22.モニュメント組立て①
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23.モニュメント組立て②
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24.慰霊文設置
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25.モニュメント躯体部セット
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26.ケーブルの断面をデザイン彫刻した石材
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27. 26を据付
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28.海に見立てた青玉砂利を敷設
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29.金属枠据付
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30.ガラスへのサンドブラスト加工の準備
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31.ガラスにサンドブラスト加工
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32.モニュメントシンボル設置
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33.完成
石材は稲田石を主とし、一部にクンナム石を使用。シンボルマークにはオハラ社製のガラスを採用しております。
川田工業株式会社様 ご紹介
日本を代表する橋梁メーカーであり、高層建築用ビル鉄骨の製作・建て方や物流倉庫などの設計・施工でも知られる。
吊橋として世界最大級の支間長を誇る明石海峡大橋の設計・施工。牛久大仏の設計・施工。